戦時中に生きる人々の暮らしを描いた大ヒット映画「この世界の片隅に」。この作品の主な舞台が広島県・呉市です。成田から広島への直行便を運航するLCC春秋航空日本に乗って、映画の主人公の息づかいを感じる呉の「聖地巡り」をしてみました。
軍港の街・呉の戦時中の暮らしを丁寧に描いた映画「この世界の片隅に」
軍港の街・広島県・呉(くれ)の人々の戦時中の暮らしを丁寧に描き、その時代背景を細やかな描写で紡いだ長編アニメ映画「この世界の片隅に」。今も各映画館のロングラン上映記録を塗り替えながら、栄誉ある数々の賞を受賞し続けています。
世界で高い評価を集める映画「この世界の片隅に」。この作品の魅力は、戦争の息苦しさだけではなく、戦禍の時代を生きる人々の地方独特の環境や風土、地場産業に沿った等身大のつつましい暮らしぶり、そして戦争のやりきれなさを描いている点です。
当時の「息づかい」をスクリーンを通じて伝える
「この世界の片隅に」の片淵須直(かたぶち・すなお)監督は足繁く映画の舞台・呉に通い、当時の「息づかい」がスクリーンを通じて伝わるように、それぞれの場面に思いを込めて制作しています。
LCC春秋航空日本で行く「このセカ」聖地巡り
「この世界の片隅に」の公開後、広島県呉市を訪れ映画の舞台を巡る「聖地巡り」が人気を集めています。
LCC STYLEではこの「聖地巡り」に注目し、成田空港から広島への直行便を運航するLCC・春秋航空日本(Spring Japan)を利用して、広島・呉を訪れる旅を連載で紹介しています。
今回の記事ではLCC STYLE編集部が実際に現地呉の街を取材し、「このセカ」聖地巡りのおすすめスポットを詳しく紹介していきます。
すずさんと晴美ちゃんの歩いた道、暮らす家。作品を思い歩く「このセカ」の聖地巡り。マナーを守って、名シーンを思いながら呉の街を散歩してみませんか?
「このセカ」聖地その1:小春橋・堺橋
主人公のすずと夫の周作さんが肩を並べて歩いた「小春橋」(こはるばし)。
映画のイメージからここへ向かってみると、映画のシーンに近いのは隣にかかる「堺橋」でした。映画に近い写真を撮影したい方は「堺橋」を訪れてみてください。
小春橋・堺橋
広島県呉市中通2丁目2-3付近
※地図上の上にある橋が小春橋・左下の橋が堺橋
「このセカ」聖地その2:三ツ蔵(旧澤原家住宅)
すずが嫁いだ長ノ木の北條家からお出かけするとき、いつも通るとんがり屋根の建物・通称「三ツ蔵」(みつくら)。目立つ黄色い建物なので、映画を見た人はきっと「あ、あの!」と思い出すと思います。
「三ツ蔵」の正式名称は「旧澤原家住宅」。歴史的建造物として国の重要文化財に指定されています。
三ツ蔵(旧澤原家住宅)
住所:広島県呉市長ノ木町2-9
(※外観のみの公開・内部は特別公開時のみ)
「このセカ」聖地その3:呉ポポロシアター
呉の繁華街・中通(なかどおり)の中心、「ポポロ」という商業施設内にある映画館。
呉で「このセカ」が上映された唯一の上映館ということで、「聖地」としてファンが集う場所になっています。
訪問時は「このセカ」のロングラン上映が終わってしまったばかりでしたが、ロビーの特設ブースには訪れた多くの観客からの感動のメッセージがたくさん寄せられていました。
受付ではロケ地マップの配布やロケ地を紹介するポスターの展示も行われています。
呉ポポロシアター
住所:広島県呉市中通3-5-3 ポポロビル 4F
営業時間:その日の上映作品による
呉ポポロシアター 公式ブログ
「このセカ」聖地その4:街かど市民ギャラリー90(くれ)内「このセカ」案内所
あまり知られていませんが、「この世界の片隅に」製作委員会が公認する特設の「このセカ」案内所がポポロシアター近くの「街かど市民ギャラリー90(くれ)」の中にあります。
取材時(2017年5月)は原作者・こうの史代さんの原画展が開催中でした。
「このセカ」案内所では、映画のゆかりの地をめぐる人たちに向けた情報公開や新聞の一面広告やロケ地マップを配布しています。
街かど市民ギャラリー90(くれ)内 「このセカ」案内所
広島県呉市中通3-3-17
営業時間:午前10時~午後5時半(※火曜定休)
入館無料
「このセカ」聖地その5:「旧下士官兵集会所」(現・海上自衛隊呉地方総監部 青山クラブ)
赤いレンガ色の丸い建築が印象的な「旧下士官兵集会所」(現・海上自衛隊呉地方総監部 青山クラブ)。映画ではすずの夫・周作さんの勤め先として登場しましたね。
忘れ物を届けに行くなど、若い夫婦らしい仲睦まじい姿が微笑ましい場面でした。
旧下士官兵集会所(現・海上自衛隊呉地方総監部 青山クラブ)
住所:広島県呉市幸町4−20
「このセカ」聖地その6:海軍病院の階段
次に紹介するのは旧・呉海軍病院(現・呉医療センター)前の階段。
映画ではすずと姪の晴美ちゃんが手をつないで歩いたシーンで出てきました。義理の父である円太郎が爆撃を受け入院した病院でもあります。
独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター
住所:広島県呉市青山町3−3−1
※地図上の「国立病院前」の交差点の場所にある階段
「このセカ」聖地その7:悲しいクライマックスの場面
すずの人生を大きく変えてしまう悲しいシーン。
あえて地図はつけませんが、人々が暮らすいつもの場所と危険が背中合わせという、当時は「どこでもあり得る場所」だったと言えるのかもしれません。それが戦争時代に生きる、ということなのでしょう。
「このセカ」を通して知る呉の魅力・LCCに乗って訪れよう
鉄鋼で栄え、軍港として名を轟かせた広島県呉市。悲しい歴史を抱く一方で、美しい風景が広がる瀬戸内の一つの街でもあります。
さざなみに照り返す夕陽のうつくしい水面、鳥の無垢なさえずり、道に咲く名もなき花。「このセカ」のスクリーンを通して、呉の街の魅力を再発見できます。
知らなかった広島へ、呉へ。あの風景に会いに、春秋航空日本(Spring Japan)に乗ってあなたも呉を訪れてみませんか?
企画協力:春秋航空日本(Spring Japan)
(取材:LCC STYLE編集部 千田朋子)