LCC STYLEで始まった「LCC×学生プロジェクト」。東京工業大学・名古屋大学・京都大学の鳥人間サークルで活躍した学生たちが、LCCバニラエアの機体整備を成田空港で特別に見学しました。”整備士”の目線で彼らは何を感じ、何を学んだのでしょうか?
「鳥人間」学生とLCCバニラエアが繋がる
LCCと学生を様々な面で繋げる「LCC×学生プロジェクト」。今回、参加していただいたのは3大学の鳥人間サークルで活躍した3校の学生たちです。過去には優勝経験のあるチームも。
- 東京工業大学 Meister
- 京都大学 ShootingStars
- 名古屋大学 人力飛行機製作サークルAirCraft
LCCは格安な運賃で学生の移動にもとても便利な乗り物ですが、格安運賃ゆえに航空機の整備に不安を持っている人が少なくありません。そこで、飛行機に詳しい鳥人間サークルの学生たちに”整備士”の目線でLCCの整備の様子をチェックしてもらおうと3校のメンバーが協力してくれました。
そして「学生たちに整備の現場を見学させてほしい」というLCC STYLEからのお願いに快く応じてくださったのが、成田空港を拠点とするANAグループのLCCバニラエアです。
2017年9月14日(木)、成田空港内にあるバニラエアの本社と整備場で見学会が行われました。
鳥人間コンテストで活躍した”整備士”の学生が成田・バニラエア本社へ
今回の参加者はLCCに搭乗した経験がないメンバーばかり。そこで、まずバニラエアの本社内で「LCC講座」を開催。
LCCについての基本を学んだあと、LCCでは低コストを実現するために、安全を犠牲にせず創意工夫を重ねている事、低運賃を通じて地域社会に貢献している事など学びました。
なかでも学生たちの関心を引いていたのは、バニラエアが就航する鹿児島県・奄美大島について。
バニラエアの就航で奄美大島を訪れる旅行客が急増。これを地元では「バニラ効果」などと呼び、地元の経済活性化に大きく貢献しています。
そして、バニラエアの整備については一等航空整備士の大城博仁さんから特別講義を受けました。
大城さんは大手航空会社で整備を行っていた経験もあり、話の中で、「予備機材の少ないLCCでは『飛べない』ことは重大な経営問題になるので、ときに大手航空会社より厳しい安全基準で整備する場合もある」というエピソードも。LCCの安全基準に不安を持っていた学生も、この厳しい基準には安心した様子でした。
また、学生からの質問コーナーでは、航空・宇宙工学を学ぶ学生からの高度な質問にも、大城整備士が的確に答えていたのが印象的でした。
特別な許可を得てバニラエアの整備の現場へ!
本社でLCCについて一通り学んだあと、特別に許可を得て成田空港で夜間に行われているバニラエアの機体整備の現場を見学させていただきました。
本物の旅客機を目の当たりにし、鳥人間サークルの学生たちから歓声があがります。
普段、人力飛行機を”整備”している学生たちが、バニラエアの整備士の方からその工程、ポイントなどを学んでいきます。
学生たちからのリクエストに応じ、パイロットが飛行前に行う安全点検について詳しい説明を受けました。
学生からは、「エンジンやピトー管(速度計に利用されるもの)から、胴体のリベット(=留め具)やネジの1本1本など細かい所まで毎回確認していることに驚いた・安心した」という声が寄せられました。
機内で説明を受けているころ、飛行機のタイヤの交換作業が始まりました。
普段見ることができないジェット機の安全を支える仕事。人力飛行機の”整備士”の学生たちの目は、より真剣なまなざしに変わっていました。
3名の学生の中には航空機整備士をはじめとした航空業界を目指す学生も。将来の進路を考えるうえでも、とても貴重な経験になったようです。
バニラエア整備の現場を体験し 学生たちは何を感じたのか
今回整備見学会に参加した3校の学生からLCCに対するイメージがどう変わったかなど、感想を伺いました。
東京工業大学 Meister 工学部機械宇宙学科・久保田 雅祐さん
久保田さん:大手の3分の1など安すぎる運賃に漠然とした不安がありましたが、きょう聞いた整備士さんの話や実際に整備している姿を見て根拠のない不安が消えました。1人1人が持っている機体・整備に関する知識は大手航空会社に全く劣らないと感じました。
久保田さん:整備士さんから「A320という同じ機種でも個体差があり手のかからない子(機体)、手のかかる子(機体)があって思い入れがある」という話が聞けて、1機1機の整備履歴などを細かく把握出来ていると感じ、安心感を持ちました。また、サービスの面ではお金のかからない”おもてなし”を工夫しているということを今回初めて知ることができました。
京都大学 ShootingStars 工学部物理工学科・武原 直人さん
武原さん:LCCは、単に”安い航空会社”というイメージしか持っていなかったが、低運賃を維持しながら、バニラエアならメッセージカードを渡すなど各社特色を出していることを初めて知りました。さらに、奄美大島の”バニラ効果”の例など地域の活性化に貢献していて公共性の高い事業であることも知り、驚きました。
武原さん:また、整備士の方からの「航空機事故は会社の存続にかかわるので、LCCだからといって手を抜くことはできない」という説明にはとても説得力があり納得できました。
名古屋大学 人力飛行機製作サークルAirCraft 工学部機械航空工学科・山田 隆博さん
山田さん:整備士さんの能力が高く、仕事にプロ意識を感じたことでとても安心感を持ちました。配線や配管の1本1本がそれぞれどう繋がっているかすぐにわかるなど、経験値の高さには驚かされました。
山田さん:LCCのサービスは、大手航空会社と比べて悪いのかなという印象を持っていましたが、荷物を預けるか、飲み物が飲みたいかなど、必要なサービスを選ぶだけで仕事ぶりや接客の丁寧さは変わらないのではないかという印象に変わりました。ラウンジなどのサービスが不要であれば、LCCを活用できる範囲は想像以上に広いのではないかと感じています。
バニラエアの整備の様子を目の前で体験した今回の経験。一生忘れられないものとなったことでしょう。整備に携わる方々の真剣なまなざしは、今後の鳥人間サークルの活動にとっても大きな励みになると思います。
今回の見学会で得たことを、今度は鳥人間サークルの活動にフィードバックして、来年の良い結果に繋げていってほしいですね。
今回、バニラエアに協力いただき整備の様子を見学したことで、学生達がLCCに対して漠然と持っていた不安も晴れたようです。「次回はぜひバニラエアに乗ってみたい!」という声も上がりました。
バニラエアの新スローガン、「Creating New Sky Experience」。学生たちがLCCバニラエアと共にどのような未来を創造していくのか、今から楽しみですね!LCC STYLEでは、今後も学生とLCCのコラボ企画を発信していきます。ご期待ください!
執筆:前川 大輔・五十嵐 貴文
企画協力:バニラエア / 東京工業大学 Meister / 京都大学 ShootingStars / 名古屋大学 人力飛行機製作サークルAirCraft / 学生旅行コミュニティ「Cube」