2月10日、大阪でLCC「エアアジアX」の関西~ホノルル線の新規就航が発表されました。6月28日から週4往復、運賃はキャンペーンで片道12900円と安く、待望のLCCハワイ直行便に。一方で現地の割安なホテルの不足など受け入れ体制には課題も。
エアアジアXが関西~ホノルル線に6月就航へ
2月10日、大阪・なんばでLCC「エアアジアX」の関西~ホノルル線の記者発表会が開かれました。いがモバはこの日東京で仕事があったのですが、LCC初の日本~ハワイ直行便の開設という記念すべき発表だったので、弾丸で取材に行ってきました。
ひこ旅:LCC初のハワイ直行便、エアアジアX関西~ホノルル線6月就航
エアアジアX、関西~ホノルル線運航スケジュール(2017年6月28日~)
D7 001便 関西23:25発 ホノルル12:30着
D7 002便 ホノルル16:00発 関西20:25着(翌日)
(運航日:月・水・金・土)
この様子は、いがモバがお手伝いしている航空ニュースサイト「ひこ旅」で記事を書きましたが、きょうはそこでお伝えしきれなかった会見の様子や、その中で感じた「疑問」「課題」について書いていこうと思います。
エアアジアはもう「ブランド」?
記者発表会の初めに、エアアジアXの企業VTRが紹介されました。就航地の魅力がダイジェストで 流れるとともに、機長を先頭にさっそうとKLIA2を歩くエアアジアXのクルーたち。
ベタな演出だけれども、エアアジアが「ブランド化」しているのを感じさせるVTRになっていました。
「初のアメリカ便・米当局からの信頼の証」
続いてエアアジアXのCEOベンジャミン・イスマイル氏が登壇。実際にお見かけしたのは初めてでしたが、シュッとして凄くオーラのある方。勢いのある企業のトップを務める方はやっぱり違いますね。
「先月アメリカへの運航の承認をいただき、エアアジアXとして初めてアメリカ市場に進出する。これはアメリカ当局からの信頼の証だと思う。」ベンジャミンCEOはこのように述べ、トランプ政権下のアメリカとの関係の良さもアピールしていました。
就航地のハワイにちなんでフラダンスを披露
ゲストの挨拶のあと、会見場で就航地のハワイ・ホノルルにちなんでフラダンスが披露されました。
皆さん素晴らしいフラを披露してくださったのですが、どこのチームの方たちだったのか全く紹介がなかったので、若干唐突感があり記者の方たちも紹介しにくい雰囲気(笑)。
実直すぎて損をした価格発表
続いて関西~ホノルル線のキャンペーン価格の発表へ。
エアアジアXグループCEOのダトック・カマルディン・マラノン氏、関西エアポート株式会社CO-CEO エマヌエル・ムノント氏、ミスハワイ2016のアリソン・チュウ氏らゲストが価格発表用のボタンを押すと。。。
パネルが開き、関西~ホノルル線の価格が発表されます。
1290・??
12,900円!これが関西~ホノルル線の片道のキャンペーン価格です。(2017年2月26日までの予約)
この値段、様々な受け止め方があると思います。新大阪から東京まで新幹線で行くより安いので凄い安いと思う方もいると思いますし、いがモバは「あまり安くない」と感じてしまいました。
ただ、この値段、実はちょっと損をしていて、空港使用料など諸税がすべて含まれているんです。空港税などをすべて差し引くとキャンペーン価格の純粋な航空券部分は実は「片道5080円」。素直にこの価格を表記しておいた方がかなりのインパクトがあったのにと思ってしまいました。
空港税などを含めない価格表記をする航空会社が多いので、エアアジアXはある意味実直すぎ?
実際にエアアジアXでハワイにいくらで行けるの?
そして昨日2月11日の午前1時からエアアジアXの関西~ホノルル線の販売が始まりました。
昨日夜の時点ですでに関西発の日程はかなりの部分がキャンペーン価格が終了していましたが、ホノルル発はまだキャンペーン価格が多く残っていて、6月28日発・30日帰りだと往復の総額が諸税込みで31030円と、従来の大手航空会社の格安航空券よりかなり安く買える計算です。
航空券が安いのは素晴らしいのですが、いがモバ読者の方には手放しでこのエアアジアXのハワイ線をおススメできない理由があるんです。
ハワイは安いホテルが圧倒的に不足!一人旅には不向き
LCCの航空券を単独で購入した場合、現地で宿泊するホテルを自分で予約する必要がありますよね。
そこで、エアアジアXの就航日の2017年6月28日のホノルルのホテルを検索してみると、あまりランクの高くないホテルでも一泊18000円とかなり高いんです。
殆どのホテルが一室に2~4人泊まれるタイプの部屋で、グループで泊まるのならば割り算でそこそこの値段になりますが、ハワイは圧倒的に一人旅には向いていない目的地だといえると思います。(安く抑えたい場合はAirbnbなどの民泊がおすすめ)
パックツアーの方が割安な場合も
一方の、パックツアーに目を向けてみると大手航空会社を利用して3泊5日のツアーが一人8万~9万円台。
ツアーの価格自体は高いのですが、この中にホテルが3泊含まれていることや、預け荷物や機内食も無料な事を考えると、エアアジアXの価格優位性はあまりありません。
「搭乗率は80%半ばを目指す」旅行代理店との提携も
会見の最後の質疑応答でエアアジアXのベンジャミン・イスマイルCEOは目標の搭乗率を「80%台半ば」と述べ、搭乗率の向上に旅行代理店との提携を進めることも示唆していました。
最近は旅行代理店の店頭でも「エアアジアで行く○○」のようにパッケージツアーが販売されているので、大阪の街でも今後「エアアジアで行くハワイ」「LCCで行くお得ハワイ」のようなツアーが販売されていくと思います。
エアアジアは就航地で「チューン・ホテルズ」(Tune Hotels)という低価格の格安ホテルを展開しているので、個人的にはシンプルに「ホテルでは寝るだけでいい」というニーズを満たすホテルの運営をエアアジアにぜひしてほしいと思います。
「若年層が新たなターゲット」に違和感
そして、質疑応答でいがモバが一番引っかかってしまったのが、次のポイント。
ハワイ州観光局局次長のミツエ・ヴァーレイ氏は「現在のリピーターは30~40代、アクティブシニアの方がメイン。若年層の方を新たなターゲットとして獲得していきたい」と述べていました。
「若年層」にアプローチしたいという部分についてはどの航空会社、どの観光地でも同じ課題を抱えているので納得なのですが、現在ハワイ州観光局が行っているキャンペーンがちょっと相反してしまうのではないかと危惧しているんです。
今の若者は旅行の「コスパ」の方が大事
ハワイ州観光局は今年2017年から日本向けに「ごほうび、ハワイ。」と称してキャンペーンを展開しています。いがモバ自身もハワイが大好きで「ご褒美」というキーワードはとても耳に心地よく響きます。
ただ、この「ご褒美」という価値観はハワイがあこがれの対象であった30代以上の人に当てはまるのであって、今の20代以下の若者の方にとっては渡航先の「ブランド」よりも払ったお金に対してどのくらいの満足度が返ってくるかの「コストパフォーマンス」を重視していると思います。
2000年前半に起こった沖縄ブームや、ベトナムやマレーシアなどのビーチリゾートの開発などで現在はハワイ以外にもたくさんの素晴らしいビーチリゾートの選択肢があります。滞在費もアジアの方が圧倒的に安くすみます。
LCCが運んでくる乗客の「層」というものの実情をもっと研究し、ハワイ州としてどう受け入れていくのか、せっかくのチャンスを生かしてほしいと思います。
新しいハワイ像を作り出せるか「革命」に期待
エアアジアXが新しく就航するハワイ。大手航空会社が圧倒的なシェアを持ち、ホテルも旅行代理店の影響力がとても大きいエリアです。
いわば旧態依然の「昭和」が色濃く残った南国の楽園にどう風穴を開けるのか、LCCの就航でどうハワイが変わっていくのか、エアアジアXが起こす「革命」を一人のエアアジア好き・ハワイ好きとして見守っていきたいと思います。
頑張れエアアジア!
この記事はブログ「いがモバ」で掲載されたものを移管したものです。