日本でも浸透してきたLCC・格安航空会社。いがモバでは2016年もアジア各国のLCCの搭乗レポートをお届けしてきました。その中で特に素晴らしかったフライトを10便を選出。今年のベストLCCフライトに選ばれたのは、どの航空会社なのでしょうか?
大反響だった2015年のLCCランキング記事
ブログ「いがモバ」で2015年の年末にお届けした「2015年LCCランキング」の記事。2015年に自らが搭乗したLCCを「価格・座席・サービス・HP」の4項目で評価し、そのランキング結果が中国の航空メディアにも引用されるなど、多方面で反響がありました。
2016年のランキングは、いがモバ五十嵐が自腹で乗ったフライトの中から特に良かった10本のフライトを選び、以下の5つの項目を10段階で評価しました。(航空券提供を受けているフライトは対象外です)
2016年いがモバベストLCCランキングの評価ポイント
・予約のしやすさ(外国系は日本語対応しているか・アプリ対応も)
・航空券の安さ(セールだけではなく常に買いやすい運賃か)
・座席の快適さ
・客室乗務員の接客品質
・付帯サービス
(機内持ち込み10キロで5点が基準・預け荷物機内食などでプラス)
ノミネートした良フライト10選
- バニラエア ホーチミン~台北
- 春秋航空日本(IJ) 成田~関西
- 春秋航空(9C) 上海~羽田
- 香港エクスプレス 名古屋~香港
- ティーウェイ航空 成田~釜山
- エアソウル 広島~ソウル
- Vエア 茨城~台北
- ベトジェットエア ホーチミン~ダラット
- マリンドエア バンコク~クアラルンプール
- ノックエア バンコク~チェンマイ
全てのLCCが対象ではない事と、あくまでいがモバ五十嵐個人の主観による評価である事を踏まえたうえで、2017年のLCC選びに役立てていただけると幸いです。それでは発表です!
【第10位】ベトジェットエア ホーチミン~ダラット線 33点
ベトジェットエア ホーチミン~ダラット(国内線) |
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2016いがモバ評価 | |
予約のしやすさ | 5点 |
航空券の安さ | 8点 |
座席の快適さ | 7点 |
CA接客 | 9点 |
付帯サービス | 4点 |
合計 | 33点 |
第10位は 今年7月にベトナムを訪問した時に搭乗したベトナムのLCC「ベトジェットエア」のホーチミン~ダラット線でした。
社会主義国であるベトナムのイメージを覆すカジュアルな制服のCAさんはとてもサービスが良く、飛行機も新型機に関してはシートも快適。路線網も急拡大していて日本への就航も近いと言われています。
ベトナムの経済と同じように急成長を遂げているベトジェットエアに2017年も注目です。
【第9位】香港エクスプレス 名古屋~香港線 37点
香港エクスプレス 名古屋~香港 |
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2016いがモバ評価 | |
予約のしやすさ | 9点 |
航空券の安さ | 10点 |
座席の快適さ | 5点 |
CA接客 | 8点 |
付帯サービス | 4点 |
合計 | 37点 |
第9位は香港のLCC「香港エクスプレス」の名古屋~香港線です。激安セールの印象が強い香港エクスプレスですが、セール時以外でも片道1万円台で乗れるなど、日本と香港をグッと近づけてくれた存在です。
これまで香港エクスプレスでは客室乗務員の印象はあまり強くありませんでしたが、前回のセントレアの取材では名物男性CAに遭遇するなど、香港エクスプレスの生き生きした姿に触れることができました。今後はこういったサービスマインドの部分も前面に押し出していけば、もっと魅力的なLCCになっていくと思います。
香港エクスプレスは座席シートが旧香港航空時代のものを除いて、腰の部分が薄いいわゆる「膝ドン」シートで、長距離のフライトでは不快に感じる場面もあります。その点が低い評価となっています。今後導入する機材ではぜひ改善してほしいと思います。
【第8位】マリンドエア バンコク~クアラルンプール線 38点
マリンドエア バンコク~クアラルンプール |
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2016いがモバ評価 | |
予約のしやすさ | 5点 |
航空券の安さ | 8点 |
座席の快適さ | 10点 |
CA接客 | 5点 |
付帯サービス | 10点 |
合計 | 38点 |
第8位はマレーシアが本拠地の「マリンドエア」のバンコク~クアラルンプール線です。(今回はLCCに分類しました。)
マリンドエアはインドネシアの巨大LCC「ライオンエア」グループの一つで、預け荷物・機内食も無料のレガシー並みのサービスが魅力です。中でも衝撃的だったのが、全席に設置された液晶モニター。
コンテンツは粗削りながらもフライトの時間つぶしにはもってこいで、機内誌などの印刷物も省けることで、LCCの将来のスタイルを感じさせる未来形の機内でした。レガシーとLCCの中間の「プレミアムLCC」という新たなジャンルのエアラインだと感じています。
ただ、フルサービスであるがゆえにCAさんの業務が多く、接客サービスの質が低かったのが気になりました。ここが改善されればさらに強力なエアラインになってくると思います。
【第7位】Vエア 茨城~台北線 39点
Vエア 茨城~台北桃園 |
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2016いがモバ評価 | |
予約のしやすさ | 8点 |
航空券の安さ | 8点 |
座席の快適さ | 8点 |
CA接客 | 10点 |
付帯サービス | 5点 |
合計 | 39点 |
第7位は今や伝説のLCCとなってしまった台湾のLCC「Vエア」です。マスコットキャラクターの「Vベア」を前面に押し出した「カワイイ」系LCCのVエアは、客室乗務員が客室の廊下をスキップしながら挨拶するなど、様々な面で衝撃的なエアラインでした。
台湾のトランスアジア航空が設立したLCCのVエアは、経営難により今年10月から運航停止し、1年間の休業が決まっています。関東では就航からわずか半年で撤退となってしまいました。しかし親会社のトランスアジア航空自体も経営状況が悪化していたため11月にまさかの会社解散。
今後、Vエアの復活に手を差し伸べてくれるスポンサーは現れるのでしょうか?このまま無くなってしまうのは本当に惜しいオンリーワンのLCCです。
【5位】エアソウル 広島~ソウル線 40点
エアソウル 広島~ソウル線 |
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2016いがモバ評価 | |
予約のしやすさ | 7点 |
航空券の安さ | 5点 |
座席の快適さ | 10点 |
CA接客 | 10点 |
付帯サービス | 8点 |
合計 | 40点 |
同じ点数のLCCが二つあるので5位は2社です。一つ目はアシアナ航空が設立したLCC「エアソウル」の広島~ソウル線です。
エアソウルは預け荷物や機内のジュースが無料で、アシアナ航空時代のモニター付きの足元の広い座席を使用するなど、マリンドエアと同様の「プレミアムLCC」路線です。CAもアシアナ航空から転籍した方なのでしょうか、接客サービスが抜群で今年の1・2位を争う接客品質でした。
一方で、日本路線の運賃は高止まりしていて、LCC化したメリットをあまり感じられません。今後の運賃の推移に注目したいと思います。
【第5位】ティーウェイ航空 成田~テグ線 40点
ティーウェイ航空 成田~テグ線 |
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2016いがモバ評価 | |
予約のしやすさ | 8点 |
航空券の安さ | 8点 |
座席の快適さ | 8点 |
CA接客 | 8点 |
付帯サービス | 8点 |
合計 | 40点 |
同じく40点で第5位になったのは韓国のLCC「ティーウェイ航空」です。すべての項目において全体的に高評価なのが特徴です。
ティーウェイ航空は成田の他にも、札幌・大阪・福岡・佐賀・大分・沖縄など日本の地方空港にも数多く就航していて、地方から韓国にお得に行ける選択肢として非常に重要な役割を果たしています。あまり派手なセールは行いませんが、常に買いやすい料金なのも魅力です。
今年9月に韓国第3の都市、大邱(テグ)と成田を結ぶ路線に新規就航し、そのフライトでは急病人発生というトラブルが起こりましたが、客室乗務員は冷静に対応。処置中にも他のCAが機内を取り乱さないように笑顔で接客するなど、プロ意識を見ることができたフライトでもありました。
また、ティーウェイ航空は関西~グアムという以遠権を活用した路線も展開しています。今後の路線展開にも注目です。
【第4位】春秋航空日本 Spring Japan 成田~関西線 41点
春秋航空日本 成田~関西 |
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2016いがモバ評価 | |
予約のしやすさ | 8点 |
航空券の安さ | 9点 |
座席の快適さ | 8点 |
CA接客 | 10点 |
付帯サービス (スプリング) |
6点 |
合計 | 41点 |
第4位は春秋航空日本・Spring Japan(スプリングジャパン)の成田~関西線です。今年9月28日に成田~関西線に新規就航し、ジェットスター・ジャパンとピーチのLCC対決だった路線に新しい風を起こしました。
春秋航空日本といえば毎月7日に開催する737円セールの印象が強いですが、実は預け荷物込みの「スプリング」の運賃がお得で、荷物がそこそこある人にとっては一番お得な選択肢の場合があります。
来年2月からはバニラエアも同路線に参入するので、さらに激しい競争が予想されますが、これまで通りの高い接客クオリティをキープしていけば、きっと価格に敏感な関西の消費者の方にも利用してもらえると思います。
個人的にはもっと路線を増やしてほしいと思っているので、今後の展開に注目したいと思います。
【第3位】バニラエア ホーチミン~台北 42点
バニラエア ホーチミン~台北 |
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2016いがモバ評価 | |
予約のしやすさ | 10点 |
航空券の安さ | 9点 |
座席の快適さ | 8点 |
CA接客 | 10点 |
付帯サービス | 5点 |
合計 | 42点 |
第3位はバニラエアのホーチミン~台北線です。今年9月に以遠権を活用して開設された新路線で、日本のLCCとして初のベトナム路線となりました。
実際のフライトではCAが乗客が見えなくなるまで手を振ってお見送りするなど、随所に日本らしさを感じることができました。訪日外国人が初めて日本にふれる場所でもあるので、そのフライトはとても重要な意味があると思います。
バニラエアのHPの予約のしやすさは随一で、LCCが初めてという方にも使いやすいシステムになっています。一方で、機内持ち込み荷物が10キロと比較的制限が緩いため、機内の棚がいっぱいになっている事が多く、乗客の荷物収納にかける無駄な時間が多いのではないかと感じています。
「リゾート・レジャー」路線を今後も目指していくのであれば、LCC初心者でも違和感なく使える預け荷物と座席指定が含まれた「コミコミバニラ」をいっそのこと標準にしても良いのではないかと思います。
【2位】春秋航空 上海~羽田線 (スプリングプラス) 43点
春秋航空 上海~羽田 (スプリングプラス) |
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2016いがモバ評価 | |
予約のしやすさ | 8点 |
航空券の安さ | 8点 |
座席の快適さ | 7点 |
CA接客 | 10点 |
付帯サービス | 10点 |
合計 | 43点 |
第2位は中国最大のLCC「春秋航空」の上海~羽田線です。今年3月の春秋航空本社の取材の帰りに搭乗したのですが、これまでの中国のエアラインに対するイメージを覆すほど素晴らしい接客に感動しました。春秋航空の接客面が大きく改善したのは子会社の春秋航空日本の影響もあったそうです。
片道プラス6000円ほどで利用できる上級クラスの「スプリングプラス」を初めて利用したのですが、優先チェックイン、預け荷物が25キロまで無料、優先搭乗、そして機内では専属の客室乗務員によるおしぼり・機内食・アルコールなどのサービスもあります。LCCの欠点を補いながら、価格はレガシーのビジネスクラスより安いという良い所取りのスプリングクラスは、今後のLCCが狙っていけるビジネスチャンスがあると感じました。
999円セールなど価格面では元々敵なしの春秋航空。今後さらにサービスを改善していけば日本人にとっても魅力的なエアラインになるでしょう。
【第1位】ノックエア バンコク~チェンマイ 46点
ノックエア バンコク~チェンマイ(国内線) |
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2016いがモバ評価 | |
予約のしやすさ | 8点 |
航空券の安さ | 10点 |
座席の快適さ | 8点 |
CA接客 | 10点 |
付帯サービス | 10点 |
合計 | 46点 |
そして2016年、いがモバのLCCベストフライト第1位はタイのLCC「ノックエア」のバンコク~チェンマイ線です。この結果、いがモバ読者の方からすると意外だったかもしれませんが、全てを客観的に数値化していくとノックエアがダントツの1位になりました。
ノックエアのバンコク~チェンマイ線は幹線ということもあり便数も多く、いつどのタイミングで買っても3000円程度とかなりお得に購入する事ができます。この「いつでも安い」、というのはLCCが普及するうえでとても大事な事だと個人的に思っています。
さらにノックエアは預け荷物や機内食も無料。新しい機内は座席も快適で、レガシーを利用する必要性を全く感じませんでした。HPは日本語にも対応しているので、日本人観光客も気軽に航空券を購入する事ができます。
LCCであるから何かを我慢するとかそういう制限が全くない事が、タイでここまでノックエアが受け入れられている要因の一つだと思います。全ての要素で素晴らしいコストパフォーマンスのノックエア。2016年を振り返っていがモバの一番お勧めしたいLCCです!
2016年もLCCのお得で快適なフライトに感謝!
2016年のいがモバLCCベストフライトランキングはいかがだったでしょうか?点数化をしましたが、エアラインごとに個性が違ってそれぞれに魅力のあるフライトでした。いつもお得な料金で快適な移動を提供してくれるLCCの皆さんには心から感謝です。ありがとうございました!
日本でもLCCが浸透してきましたが、まだまだ利用している人はごく一部の方に限られています。LCCには魅力がたくさんあります。人が気軽に空を移動できるようになることで、これまでの生活スタイルを変える可能性も秘めています。
LCCジャーナリストとして、これからも一人でも多くの方にLCCの魅力を知っていただけるように情報発信を続けていきます。2017年も応援よろしくお願いします!
いがモバ2016LCCベストフライトランキング
1位46点 ノックエア バンコク~チェンマイ
2位43点 春秋航空(9C) 上海~羽田
3位42点 バニラエア ホーチミン~台北
4位41点 春秋航空日本(IJ) 成田~関西
5位40点 ティーウェイ航空 成田~釜山
5位40点 エアソウル 広島~ソウル
7位39点 Vエア 茨城~台北
8位38点 マリンドエア バンコク~クアラルンプール
9位37点 香港エクスプレス 名古屋~香港
10位33点 ベトジェットエア ホーチミン~ダラット
この記事はブログ「いがモバ」で掲載されたものを移管したものです。