LTEの整備が進むインドネシア。数多くの通信会社がしのぎを削る現状は、まさに「百花繚乱」です。インドネシアにはどんな通信会社があるのか、どこの通信速度が速いのか、いがモバが首都ジャカルタで取材しました。2016年8月時点の情報を紹介します!
【8月18日追記】ジャカルタでスマホを買うのにオススメのショッピングモールと、注目のインドネシア製スマホを紹介する記事を公開しました。こちらもあわせてご覧ください。
LTEの整備が進むインドネシア・通信会社まとめ
2015年時点で約2.5億人の人口を抱えるインドネシア。総務省の「世界情報通信事情」によりますと、インドネシアの携帯電話の普及率は既に約130%を超えていて、一人1台以上の携帯電話を持っている計算になります。
スマートフォンの利用者数も急激に増加中で、「INDONESIA INVESTMENT」の記事によると2015年の時点で5500万人、今後2019年には9200万人に倍増するのではないかという予測があります。
では、今インドネシアにはどんな通信会社があるのでしょうか?2016年8月時点の情報をまとめてみました。
インドネシア3大キャリア
- Telkomsel(テルコムセル)
- XL Axiata(エクセル・アクシアタ)
- Indosat Ooredoo(インドサット・オーレドゥー)
その他の主な通信会社
3大キャリアの他には香港でおなじみの「3」や、三井物産が出資に参画しているTD-LTEサービスの「BOLT!」、低価格・高コスパの自社端末「ANDROMAX」シリーズが人気の「smartfren」といった通信会社があります。
これらの通信会社を首都ジャカルタの取材とあわせて、順番に紹介していきたいと思います。
インドネシアのドコモ的存在・Telkomsel(テルコムセル)
インドネシアで約50%近いシェアを誇るのが「Telkomsel」(テルコムセル)です。
テルコムセルの親会社は国有通信会社のテレコム・インドネシアで、日本のNTTとNTTドコモの関係に似ています。
テルコムセルは2014年の12月にインドネシアで初めてFDD方式のLTE通信のサービスを開始し、現在はインドネシアの主要都市でLTE通信ができるようになっています。
テルコムセルのSIMカードはスカルノ・ハッタ国際空港で買える!
インドネシアのシェア1位のテルコムセルのプリペイドSIMは空港で気軽に買う事ができます。
スカルノ・ハッタ国際空港の到着階にある「QUEEN CELLULAR」というプリペイドSIMの売店では、店員のイチオシとしてテルコムセルのSIMを販売していました。
SIMの代金は15万ルピア(約1150円)で、この中に1GB+ボーナス3GBの合計4GB分の高速データ通信が含まれています。
数日間の旅行で4GBもあれば十分なので、日本の携帯会社のローミングを利用するよりかなりお得な金額です。
SIMフリー端末ならAPN設定は自動・LTEバンド3・8に対応
スカルノ・ハッタ空港の売店では購入したテルコムセルのプリペイドSIMの開通作業とインターネットのデータパッケージの適応をすべて代わりにやってくれました。
開通後のSIMをSIMフリー端末に入れると、APN設定を自動的に読み取ってくれるので基本的に設定は不要です。モバイルデータ通信をONにすれば自動で通信が始まりました。
ちなみにテルコムセルのAPN設定は以下の通りです。
Telkomsel(テルコムセル)のAPN設定
APN: internet
ユーザー名:不要
パスワード:不要
残高確認は「*888#」、自分の電話番号確認は「*808#」、チャージはスクラッチカードを買う方法や、コンビニやスーパーなどで番号を伝えて行う方法があります。
テルコムセルのLTEが利用している周波数(バンド)はBand3 (1800MHz帯) とBand8 (900MH帯)です。
いがモバが持って行ったBand3 (1800MHz帯) に対応する「honor6 Plus」でも4GLTEの電波が掴めたので、ジャカルタ市内でもBand3のエリア展開が進んでいるものと思われます。
激しい2位争い・XL Axiata(エクセル・アクシアタ)
インドネシアの通信シェア第2位(約20%)は「XL Axiata」(エクセル・アクシアタ)です。3位とは1%程度の差しかなく、激しい2位争いを繰り広げています。
親会社はマレーシアの「アクシアタグループ」で、インドネシアでは「XL」のブランド名で通信サービスを行っています。
2014年に「Axis」ブランドのアクシス・テレコム・インドネシア (PT Axis Telecom Indonesia)を合併しています。
JKT48劇場があるfXモールにXLのお店がある!
シェア2位の「XL Axiata」(エクセル・アクシアタ)のお店は、JKT48劇場が入るジャカルタ市内のショッピングモール「fX Sudirman」(エフエックス・スディルマン)にもありました。
エクセル・アクシアタのお店の中はコーポレートカラーの青と白で統一されていて、清潔感のある店内です。
XL AxiataのプリペイドSIMの料金プラン
そしてこちらが店員さんに提示してもらったXLのプリペイドSIMの料金プランです。
いがモバは滞在日数が少ないので、一番小さいLプランを選択。料金は8万9000ルピア(約680円)で、4GBまでのデータ通信が使えて、さらに4GLTE通信限定で15GB使えるボーナスが付いています。
本当に15GB使えるのかは大容量すぎてわかりませんが、1回の滞在では十分すぎるくらいのデータ量です。
SIMのパッケージ代金と合わせて、お店では10万3000ルピア(約790円)支払いました。
スカルノ・ハッタ空港の売店より安かったので、通信回線がすぐに必要ではない人はジャカルタ市内に出てから購入するのが良さそうです。
XLもAPNは自動入力!LTEバンドは3・8
XLのプリペイドSIMをZTEのSIMフリースマホ「Blade V7Lite」に入れると、自動でAPN設定が読みこまれました。モバイルデータ通信をONにすればすぐに4GLTE通信が可能でした。
XL AxiataのAPN設定
APN: internet
ユーザー名:不要
パスワード:不要
XLのAPNもテルコムセルと同様に「internet」だけで、ユーザー名とパスワードは不要でした。
スマホ本体に自動生成されるAPNがもうひとつ「XL internet LTE 4G」 というのがありましたが(APNはxlte)、こちらを選択しなくても4GLTE通信が使えました。
XLのLTEの周波数(バンド)はBand3 (1800MHz帯) とBand8 (900MH帯)で、「Blade V7Lite」は両方に対応しているので、ジャカルタ市内で快適に通信する事ができました。
ブランド名変更で攻めるIndosat Ooredoo(インドサット・オーレドゥー)
インドネシアの通信シェア約19%で、2位と僅差の3位は「Indosat Ooredoo」(インドサット・オーレドゥー)です。
「Indosat Ooredoo」はカタールの通信会社「Ooredoo」(オーレドゥー)のグループ会社で、2015年11月にブランド名を現在のものに変えてOoredooグループの一員としての立ち位置を明確にしています。
ジャカルタ市内の店舗でも「Ooredoo」の文字が目立っていて、今後徐々に「Ooredoo」色を強めていくのかもしれません。
空港の売店で「Indosat Ooredoo」のSIMが購入できる
「Indosat Ooredoo」のプリペイドSIMは前述した空港の売店やジャカルタ市内でも良く見かけました。
今回は購入し忘れてしまったのですが、インドネシアの携帯情報サイトによるとAPNは以下の通りです。
「Indosat Ooredoo」のAPN設定
APN:indosatgprs
ユーザー名:indosat
パスワード:indosat
「Indosat Ooredoo」のLTEの周波数(バンド)も他の2社と同じBand3 (1800MHz帯) とBand8 (900MH帯)です。
営業してるの?見つけられなかった「3(tri)」
今回のジャカルタの取材で全く存在を見つけられなかったのが、香港のハチソングループの一員「Hutchison 3 Indonesia」です。
インドネシアでも3(Tri)のブランド名で通信事業を行っていて、HPを見ると4GLTEのサービスも行っているようです。
使用しているLTEの周波数帯はBand3 (1800MHz帯) で、日本で購入できる多くのSIMフリースマホが対応しています。
三井物産が出資!TDD-LTEサービスを展開する「BOLT!」
インドネシアには3大キャリア以外にも個性的な通信会社があります。
2013年12月から他社に先駆けてTDD-LTE方式(Band40)の高速データ通信のサービスを提供してきたのが、「PT Internux」(ピーティー・インターナックス)社の「BOLT!」(ボルト)です。
「PT Internux」はインドネシアの財閥「リッポー・グループ」の通信会社で、インドネシアの携帯市場の発展に目を付けた日本の「三井物産」が7500万ドルを出資してサービスに参画したことは日本でも話題になりました。
4GLTEルーターが2300円!?「BOLT!」の激安戦略
インドネシアの通信市場で後発組の「BOLT!」が行っているのは激安戦略です。
「BOLT!」のLTEの電波を受信できるWi-Fiルーターを29万9000ルピア(2300円)という激安価格で販売して、継続して使ってもらおうという作戦です。
この2300円の中には8GBの高速データ通信が含まれているので、ルーター自体は殆どタダ同然です。日本の0円携帯と仕組みが似ていますね。
いち早くLTEの高速通信が使えたことで、ジャカルタに駐在する日本人の間でも話題になりました。
「BOLT!」の弱点は通信エリア
インドネシアでいち早くTDD-LTE方式のサービスを開始した「BOLT!」ですが、サービスエリアが2016年8月現在ジャカルタ近郊とメダン周辺に限られているのが弱点です。
この他の場所では圏外になってしまうので、これ1台でインドネシアを周遊するという使い方は向いていません。
急成長中の第4極!「smartfren」スマートフレン
今、インドネシアで急成長している「第4極」とも言える通信会社があります。
それはインドネシア財閥シナルマス・グループの携帯電話会社「smartfren」(スマートフレン)です。
TDD&FDDのダブルLTEが使える「smartfren」
元々CDMAで通信事業を行っていた「smartfren」(スマートフレン)ですが、2015年からTDD方式(Band40)とFDD方式(Band3・Band5)のハイブリッドLTEによる高速データ通信サービスを提供しています。
「smartfren」はインドネシアで初めてTDD・FDDの両方のLTE通信とCDMAのネットワークを合わせ持つ通信会社です。
「smartfren」ならインドネシアの地方でもLTEが使える!
スマートフレンの凄い所が、インドネシアの地方部でもLTEのエリアを構築している事です。
上記の地図を見て頂くと分かるのですが、ジャカルタやメダンだけでなく、他のインドネシアの地方部でも既にLTE通信が可能になっています。
シェア1位のテルコムセル以上にLTEの整備が進んでいて、一気にシェアを奪おうとする本気度が伝わってきます。
「smartfren」の躍進の秘訣が激安端末「ANDROMAX」(アンドロマックス)
スマートフレンが勢いを伸ばすもう一つの理由が激安の自社端末「ANDROMAX」(アンドロマックス)の存在です。
先ほどの「BOLT!」同様に、自社の通信網に最適化したLTEルーターやandroidスマホを激安でセット販売していて、LTE高速通信デビューする人たちのシェアを奪おうとしています。
いがモバはインドネシアのショッピングモールでスマートフレンのLTE対応WiFiルーター「ANDROMAX M2Y」(ハイアール製)を29万9000ルピア(2300円)で購入しました。
「ANDROMAX M2Y」にはスマートフレンのプリペイドSIMがセットになっていて、開通作業もお店の人がやってくれました。
スマートフレンのプリペイドSIMの開通にはパスポートとEメールアドレスが必要でした。
テルコムセル・エクセル・スマートフレンの3社の速度を比較!
今回のジャカルタの取材で、いがモバはシェア1位の「Telkomsel」(テルコムセル)、シェア2位の「XL Axiata」(エクセル・アクシアタ)、勢いのある「smartfren」(スマートフレン)の3つの通信回線をゲットしました。
実際の通信速度はどうなのか、早速スピードテストを行う事にしました。
まさかの30Mbps越え!予想以上に速いインドネシアのLTE
8月8日午後2時すぎ、ジャカルタ市内にあるショッピングモール「グランドインドネシア」内でOoklaのスピードテストアプリを使って速度を計測しました。
両手を使って3つのスマホの計測開始ボタンを同時に押すと、速度のメーターが一気に右に。
下りはテルコムセルとエクセルの2社が約30Mbps超の速度が出るなど、想像以上に速いスピードが出ました。これは凄い!
インドネシアのLTEで一番早かったのは?
そして、4回に分けて行ったスピードテストの結果を平均すると、以下の速度になりました。
インドネシアLTEスピードテストの結果
- テルコムセル
下り平均27.27Mbps 上り平均5.44Mbps - エクセル アクシアタ
下り平均35.35Mbps 上り平均22.24Mbps - スマートフレン
下り平均19.44Mbps 上り平均3.66Mbps
一番速かったのはエクセル アクシアタで、下りも上りも他より頭一つ抜きん出た速度でした。
ただ、3社ともに十分な通信速度で、従来のインドネシアの通信環境のイメージを覆す良い結果でした。場所や時間帯によってこの結果は変わってくるので、あくまで参考程度にしてください。
スピードテスト1位のXLの回線を日本で事前に借りられる!
今回のスピードテストで1位となった「XL Axiata」(エクセル・アクシアタ)。実はこの会社の回線を日本で事前にレンタルする事ができるんです。
そのレンタルを行っているのは「エクスモバイル」です。
エクスモバイルのルーターでXLのLTE回線が使える!しかも1日あたりが最安!
エクスモバイルでは「XL Axiata」(エクセル・アクシアタ)の回線を利用したLTEルーターをレンタルしています。
しかもレンタル料は1日750円と、インドネシアのLTEルーターのレンタルを行う他社と比べて一番安いんです。
インドネシア用のLTEルーターのレンタルを行う主な会社
・グローバルWiFi(LTEプラン 1日1170円 )
・イモトのWi-Fi (LTEプラン 1日1580円)
・エクスモバイル(LTEプラン 1日750円 最安!)
インドネシアでのコミュニケーションに不安がある・事前に現地の通信回線を確保しておきたいという方は、ぜひエクスモバイルのレンタルルーターで「XL Axiata」(エクセル・アクシアタ)の快適なLTE回線を利用してみてくださいね。
まさに百花繚乱!ダイナミックに変化するインドネシアの通信事情が面白い
「通信環境が悪い」というインドネシアのイメージが見事に覆った今回のジャカルタ取材。想像以上にLTE通信が快適で速かったので、思わずジャカルタで生活するのも良いかも・・・と妄想してしましました。
インドネシアの経済成長にともない通信事情もダイナミックに変化を続けています。
沢山の通信事業者が快適な通信回線をめぐってサービスを繰り広げる現状はまさに「百花繚乱」!ますます面白くなるインドネシアにこれからも注目していきたいと思います。
【8月18日追記】ジャカルタでスマホを買うのにオススメのショッピングモールと、注目のインドネシア製スマホを紹介する記事を公開しました。こちらもあわせてご覧ください。
この記事はブログ「いがモバ」で掲載されたものを移管したものです。